EU(欧州連合)では、プラットフォームによる「偽装自営業者(false self-employment)」の搾取や権利保護が大きな問題となって、EUとしての指令を定める議論が高まっています。そして、直近のオランダをはじめとする各国での裁判所での労働者性を求める裁判で労働側勝訴の判決が相次いでいます。これを受けて、2021年9月14日、フランス選出の議員が提出した提案に賛否投票があり、524対39の圧倒的多数で可決されました。
この議決は、次に議論される「関連指令」の内容とも重なるものと推測されます。
関連した記事については、オランダの裁判所でUberが敗訴。それを受けて欧州労連(ETUC)が声明(2021.9.13)参照。
この記事にもある、「欧州委員会協議第2段階への回答としてETUCが行った提案」についても日本語訳を進めています。(文責 swakita)
欧州議会(MEP)は、プラットフォームによる偽装自営業を終わらせるために投票する
16.09.2021プレスリリース
欧州議会は、プラットフォーム企業が労働者に偽装自営業を強いることを防ぐための提案を支持した。
数百万人もの労働者が、使用者責任を回避する一部プラットフォーム企業によって、最低賃金、休日、病欠手当(sick pay)の権利、そして安定した雇用契約を拒否されている。
偽装自営業は、単に労働者を搾取するだけでなく、ルールに従って行動する大多数の使用者にとっても不公平であって、世界的巨大企業の一部が、私たち皆の公共サービスに基金として必要な税金と社会保障拠出金を回避することを可能にしている。
プラットフォーム企業は、今年、ヨーロッパ全土での偽装自営業をめぐる一連の訴訟で敗訴した。最新の訴訟は、火曜日にオランダで出た事例で、裁判官は、「Uberと、そのドライバーとの法的関係は、雇用契約のすべての特性を満たしている」と判決した。
この増大する紛争(scandal)は、火曜日(9月14日)、欧州議会で議論され、昨夜、欧州議会議員たち(MEP)は、雇用社会問題委員会の支援を受けた、フランス選出議員(MEP)シルヴィ・ブリュネが提出した報告書に賛成の投票をした(524対39)。
欧州議会(MEP)は、偽装自営業を終わらせるための鍵となる以下の提案を承認した。
- 「プラットフォーム企業の雇用関係の反論可能な推定」
- 「立証責任の転換」
- 「労働者と自営業者の間に、新たなEUのいわゆる第三の地位を設定することは考えられないことを明確にすること」
- プラットフォーム企業の労働者は、集団的に団結し、労働組合によって代表される権利を有しなければならない
この提案は、水曜日(9月15日)に終了したプラットフォーム労働における労働条件に関する行動に関する欧州委員会協議第2段階への回答としてETUCが行った提案と同一である。ETUCは、その回答の中で、雇用関係推定と立証責任転換がどのように機能するかを具体的に説明している。
この報告書は、年末まで委員会が提示すると予想される、この問題に関する次の〔EU〕指令の基準を設定するもであった。
ETUC連合事務局長のLudovic Voetは、次のように述べている。
「あまりにも長い間、プラットフォーム企業は、労働者、良い使用者、公共サービスを犠牲にして、使用者としての最も基本的義務を回避することで莫大な利益を上げてきた。
「同様に、労働組合運動の長年の要求と同様に、欧州議会は偽装自営業の紛争(scandal)に時間をかけた。
「欧州議会が、社会的パートナーとの協議で表明されたETUCの要求を支持することを嬉しく思う。反論可能な雇用関係の推定と、立証責任の労働者からプラットフォームへの移行は密接に関連している。これにより、労働者の偽装自営業を終わらせると同時に、真の自営業者で実際に運営されているプラットフォームが引き続き〔真の自営業で運営されている〕そうすることはできる。」
「投票は、他のすべての使用者が遵守しなければならない法律にプラットフォーム企業を一致させることを支持する社会の幅広いコンセンサスが存在していることを示した。委員会は、プラットフォームとそのロビイストからの圧力に屈して、彼らの義務を回避し続けたり、彼らに有利なように法律を書き直したりするべきではない。」