2023年5月8日より、covid-19、コロナ感染症が、感染症法上の第5類に変更になりました。
何が変わったのか、何が変わらないのか、
第5類に変更になることで、感染症法上の休業命令は出せなくなりました。また、休業補償なども為されなくなりました。変わった部分は、政府や自治体による金銭的な補償や対策に掛ける費用、労力が少なくなっている、といえます。
一方で、医療・福祉の現場では、感染症の予防や治療に対する対応は変わらない、といった実態があります。厚生労働省や自治体は、感染症予防について、かなり詳細に対策の説明を行っています。そこで語られる基本は、「法律は変わっても、ウィルスが変わるわけではない」ということです。
医療・福祉現場の戸惑いや迷走の状況が見えてきます。以下、京都府のコロナ感染症予防に関する説明会などを中心にレポートします。
まず、相談窓口に関する情報と「高齢者施設等」「障害児者施設等」における感染対策について、行政の説明会などでの情報を整理していきます。
●宿泊療養施設等の終了
行政の対策として大きく変更されるのが、宿泊療養施設の終了です。厚生労働省のHPには、「患者の発生届や外出自粛要請がなくなるため」「宿泊療養施設」等は終了します。ただし、「受診相談・体調急変時の相談」「高齢者・妊婦の療養のための宿泊療養施設については、期限を区切って継続され」るとありました。
京都市情報館には 京都市では、これまで、新型コロナウイルス感染症に感染した方のうち、無症状者や軽症患者の容態変化等の相談に対応し、必要な場合に的確に医療に繋ぐ「京都市新型コロナ陽性者フォローアップセンター」(以下、「センター」という。)を運営していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更を踏まえ、令和5年5月8日から、センターを「きょうと新型コロナ医療相談センター(府市共同設置)」と一体的に運用することとし、名称を「きょうと新型コロナ医療相談センター・京都市療養者相談ダイヤル」に変更しました。
「京都市療養者相談ダイヤル」では、新型コロナの陽性判明後に、体調が急変した場合の市民の皆様からの相談を受け付けています。
なお、センターで受付・審査等を行っていた「陽性者登録制度」は、令和5年5月7日をもって終了しました。
〇陽性判明後の体調急変時等のお問い合わせ先
きょうと新型コロナ医療相談センター 京都市療養者相談ダイヤル
050・3614・9575(24時間対応)
※なお、当ダイヤルは、陽性判明後の療養者の専用電話であるため、新型コロナウイルス感染症の診断を受けていない方や感染が心配な方等は、従来どおり『きょうと新型コロナ医療相談センター
(電話:075-414-5487)』で対応します。
とありました。
●5月1日㈪に感染症法上の5類変更後を見越して、京都府では高齢者施設・障害児者施設の感染対策の説明会が実施されました。社会状況を反映してZoomでの視聴になりました。視聴者が500名を超えてしまい、後日YouTubeでの配信も行われています。京都府内の施設の関心の高さが現れていました。
京都府新型コロナウィルス感染症施設感染専門サポートチーム(京都府保健環境研究所)の藤田直久さん(京都府立医科大学教授)から5類移行後の感染対策について、説明がありました。
最初に「5類に移行しても、ウィルスが変るわけではない」という話がありました。covid-19とインフルの違いとして疫学的見解が示されました。
①covid-19は高い伝播性があるコロナは3人以上、インフルは1・6人程度②covid-19は免疫逃避性が高い。再感染のリスクが高い。
③covid-19は変異株が多様で早く出現
④季節性がない、つまり季節に関係なく、流行する。
⑤日本では流行ごとに感染者数と死亡数が増加している。
⑥合併症がある⑦後遺症があるということが説明されました。
その上で、確実な基本的感染対策(マスク、換気、手指衛生等)が重要で、「感染対策は幾重にも重ねてやらないと効果が減少する」ということが強調されました。基本的な感染対策に加えて、物理的な距離、症状があればすぐに休む、予防接種という感染対策が必要であるということが言われました。施設やそこで働く従業者は「緩んでいく社会とは違う日常生活での基本的な感染対策」を行っていくことが大切であると強調されました。従業している職員の就業の取り扱いについては、職員家族が陽性であり、かつ「曝露状態が継続する場合、就業制限は行なわなくてよいが直接支援業務には携わらないほうがよい」という見解が示されました。
また、施設でのクラスター対策として、沖縄県での流行の教訓として、スクリーニングは早い方がいい、ということが共有されました。
●法律上の取り扱いの変更と感染対策について整理してみました。公的支援が縮小することになりましたが、必要で負担が少ない感染対策が要求されています。
高齢者福祉や障碍者福祉の現場では、感染症対策は緩めることはできません。対策についての議論の中でも、「社会は緩んでいくけれども、福祉関係者は緩めるのではなく、やるべきことをやってもらいたい」という話が出ていました。
多くのイベントが開催され、社会から手指消毒や換気に対する意識がゆるくなっていく中で、対策を維持していくことが望まれます。
以前のように、日々の感染者数等が発表されなくなりました。特に福祉の現場では自施設での感染状況のみが判断材料になります。一週間に一度の「定点調査」のデータをどう見ていくのか、ここの職員の健康管理の維持も含めて悩ましい状態が進む、というのが現状ではないでしようか。