違法派遣受け入れ企業は「直接雇用を」 厚労省研究会
http://www.asahi.com/job/news/TKY200807280359.html
厚生労働省の有識者研究会(座長・鎌田耕一東洋大教授)は28日、労働者派遣法の改
正に向けた報告書をまとめた。違法派遣を受け入れた企業への新たな制裁措置を盛り込ん
だほか、日雇い派遣の原則禁止や同じグループ内企業だけへの派遣について上限規制を設
ける方針も打ち出した。厚労省が今秋の臨時国会に提出する派遣法改正案の骨格になる見
通しだ。
報告書は、現在の派遣制度が雇用の安定や待遇の改善などの課題を抱えていることを認
めた上で、「事業規制の強化は必要なものにとどめ、派遣労働者の保護と雇用の安定を充
実させる方向で検討することがのぞましい」と明記した。現行制度の骨格を維持した形で
の規制強化を求めているのが特徴だ。
これまで派遣受け入れ先企業への制裁措置が軽すぎるという声を反映し、意図的な偽装
請負や禁止業務への派遣など、違法派遣に関係した派遣受け入れ企業に、派遣労働者を直
接雇用させる制度を導入すべきだと提言した。
「派遣契約が切れるたびに失業状態になる」として、労働側が原則禁止や対象業務の制
限を要求してきた「登録型派遣」については、労使双方に需要があることを理由に、維持
するよう求めた。
原則禁止とすべき日雇い派遣の定義は「30日以内の期間を定めて雇用するもの」とす
るよう提言。マージン率については公表の義務づけを求めたが、上限規制は「他事業では
規制がなく、合理的でない」と否定。現状維持を求める経営側へ配慮した。
研究会の報告書の形をとっているが、「与党だけでなく民主党にも配慮した形でまとめ
た」(関係者)といい、自民、公明両党が7月にまとめた提言だけでなく、民主党が4月
にまとめた改正案の主張と重なりあう点も多い。
厚労省は、報告書を「改正案の方向性を示したもの」と位置づけており、労使代表らが
参加する労働政策審議会で、報告書をもとに日雇い派遣を例外的に認める業種など細部を
議論したうえで、臨時国会に改正案を提出する方針だ。
共産、社民、国民新の各党がそれぞれにまとめた改正案などでは、登録型派遣は専門業
務に限り、「ピンハネ防止」を理由にマージン率に上限を設けるよう唱えており、与党や
民主党案とは隔たりが大きい。
ただ、25日に都内で開かれた集会では、民主党の山田正彦「次の内閣」厚生労働担当
が「4野党共同で(臨時国会へ改正案を)出したい」と発言するなど、「野党共闘」を模
索する動きもあり、先行きは不透明だ。