不法派遣時の雇用擬制の議論が一段落、民主労総「常識的な判決」
イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2008年09月18日17時57分
『派遣労働者保護』の側面から大法院で初の判決
韓国での話しです。以下、記事より。大法院が使用者が不法に派遣労働者を使った時、該当労働者を直接雇用しなければならないという判決を出した。今日(9月18日)、大法院は旧派遣勤労者保護などに関する法律(派遣法。現行の派遣法は、2006年11月に改正)で問題になった不法派遣時の使用者の雇用擬制 (直接雇用したことと見なす)に対して、派遣法で認められていない業務や許可を受けていない派遣事業主が行う勤労者派遣の場合、すなわち不法派遣の時も適用すべきだという最終判決を下した。今回、結論が出た旧派遣法での雇用擬制は、使用者が2年以上、派遣労働者を雇用した時は直接雇用と見なすと明示していたが、不法派遣の場合も同じように適用されているかについては絶えず問題になってきた。これまで多くの判決は、不法派遣には雇用擬制が適用されないという意見が支配的だった。今日の大法院の判決で、こうした議論は一段落した。
今回の判決について民主労総は、「不法派遣をした元請会社が使用者としての雇用上の責任を負うという点を明確にしたことに意味がある」と歓迎したが、派遣法の施行から10年後、それも派遣法が不法派遣に対して使用者が雇用義務を持つだけでいいと改正された後の判決で、「惜しみが残る」と評価した。
最高裁、「雇用擬制適法派遣だけに適用されなければならないという根拠はない」
▲チャムセサン資料写真
大法院がこのような結論を下したのは、株式会社イェスコ(旧極東都市ガス)で 2000年4月から働いていた派遣労働者が、2005年11月30日、契約期間満了を理由として解雇され、派遣勤労期間2年を越えた2002年4月の時点からは『期間の定めがない労働者』として雇用されたと見なされたことで、不当解雇請求訴訟を出したことから始まった。
特に、解雇された派遣労働者たちは、2000年4月の入社時から派遣法で認められていない業務で働き、派遣期間が2年を過ぎ、使用者が直接雇用の責任を回避するために請負契約に転換した。これはすべて不法派遣だった。このため彼らの解雇は不当だということを証明するために、問題になった不法派遣時にも雇用擬制が適用されるかという問題が残ったのだ。この事件についてはソウル行政法院とソウル高等法院は、不法派遣の事実は認めたものの、雇用擬制の適用は認めなかった。
これに対して大法院は「直接雇用甘受規定が適法な勤労者派遣の場合だけに適用されると解釈する何の根拠もないばかりか、進んで派遣勤労者保護法が規定した制限に違反し、勤労者派遣の役務を提起された使用事業主は、むしろ直接雇用の負担を負わない結果になり、法的な公平性からも外れる」とし「(不法派遣時に雇用擬制が適用されなければ)使用事業主としては当然勤労者派遣事業の許可を受けない派遣事業主から勤労者派遣を受けるほうを好むようになるので、派遣勤労者保護法に違反する行為を助長して勤労者派遣事業許可制度の根幹を破壊する心配があり、妥当ではない」と明らかにした。
こうした大法院の結論に民主労総は「間接雇用の形態を利用して、雇用関係上の法的な責任を回避することに警鐘を鳴らす判決として意味がある」とし「さらに重要な問題は、請負契約で雇用関係を回避することを厳格に防ぐこと」と指摘した。また不法派遣時の雇用義務に改正された派遣法には「使用者が直接雇用義務を履行しない場合、すなわち不法派遣をした元請会社を相手にどんな請求ができるのかが問題」とし「請負契約でも、あるいは派遣勤労関係でも、間接雇用において元請会社は少なくとも労働三権にについての使用者としての責任を負う必要がある」と明らかにした。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)