読み終えるまでに、まだまだ時間が掛かりそうなのですが、みなさんにGW中にお読みいただきたいと思い、紹介します。
この本は8章からなりますが、各章ごとに「はじめ」と「まとめ」があり、どこからでも気に入ったところから読み始めることができます。「強欲資本主義」をあぶり出しながらも終焉の時を迎えたとして、その発展方向については終章で「新しい経済社会のあり方を求めて」を論じられています。それは「まともな働き方」の実現が、地球環境の悪化にブレーキをかけ持続可能な労働環境と地球環境を創出していくために不可欠なステップであることを問題意識に展開され、過労死をなくすことは環境にやさしい働き方の実現に、そして労働時間短縮は人間の成長に必要な環境をつくりことをあげています。そのくだりで、「ダウンシフター」(減速生活者)の話しが織り込まれ、消費の豊かさから自由時間の豊かさを示唆され、地球環境の再生を志向するライフスタイルを問題にされています。最後に「この国にとっての近未来の望ましい社会経済システムは、ワーキングプアと過労死と環境悪化が併存する高利潤・高蓄積の生産様式から脱却することなしには切り開かれない。とすれば、それはポスト新自由主義を超えて、ポスト資本主義に踏み出す可能性を秘めていると言えよう」と結んでおられます。能力のない私ですが、みなさんにお読みいただきたく力量不足ながら紹介いたしました。(H)
(「BOOK」データベースより)
この30年余りのあいだに資本主義は大きく変化してきた。新自由主義の政策イデオロギーが現実政治に浸透した国々では、金融と雇用の規制緩和が進み、それがアメリカ主導のグローバリゼーションと交錯して、ファンドマネーが世界を駆け巡る「株主資本主義」の時代が出現した。それとともに戦後、長らくつづいてきた安定的な雇用関係が崩壊し、労働者の状態はまるで19世紀に逆戻りしたかのように悪化した。本書ではこうして出現した時代を「強欲資本主義」と呼んでいる。「強欲資本主義」と化した現代資本主義の“現代性”と“多面性”を労働と消費の視点から明らかにし、ポスト新自由主義の新しい経済社会を探求する。