首相官邸前の道路を埋め尽くし原発再稼働反対を訴える人たち。右上は国会議事堂=29日午後7時43分、東京・永田町で(中嶋大撮影)
関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働決定の撤回を求めるデモが二十九日夜、首相官邸周辺(東京都千代田区)であり、市民らが「再稼働反対」「原発いらない」と官邸に向かって声を上げた。関電は七月一日に3号機の原子炉を起動する準備を進めており、再稼働を前に徹底抗戦の場となった。
複数の市民グループ有志でつくる「首都圏反原発連合」がツイッターなどで呼び掛け、三月末から毎週末、官邸前で実施。政府の再稼働方針に反対している。参加者数は回を追うごとに増え、この日は官邸前から霞が関の財務省前まで七百メートルほど人の波が連なり、官邸近くでは車道をほぼ埋め尽くした。
デモ開始の午後六時前。学生、子ども連れの母親ら幅広い年齢層が集まり始めた。中には太鼓をたたいたり、反原発をデザインした自転車で走る人も。
参加した出版社社長の富澤昇さん(60)=東京都府中市=は「3号機を動かして他の原発も再稼働するという政府の考えが見える。そもそも地震大国の日本に原発をつくるのが間違い」と批判した。
同僚を誘って二度目の参加という会社員の岩渕政史さん(34)=墨田区=は、これまでにない参加者の多さに驚きながら「首相は国民の目線と全然違う。日本をこれ以上汚す気か」と憤慨した。
二歳の男児を抱いて子育て仲間と来た杉並区の主婦(34)は「今声をあげなかったら、子どもから『なぜお母さんとお父さんは私たちの未来を守ってくれなかったの?』と言われるかも。子どものためにも行動しなくてはいけない」と話した。
(東京新聞)
情報資料室にNew York Timesの6月29日(現地時間)の記事があります。