ソウル市の非正規職→正規職転換の意味と波及効果

ハンギョレ新聞 2012年12月5日 (12月12日「職場の人権」MLから)

*来年6月に地下鉄清掃3,116名から
*警備・駐車管理は5年間に段階的に転換

 ソウル市が5日に発表した第2次非正規職雇用改善対策として、来年から非正規職のくびきから抜け出す間接雇用労働者は6,465名に及ぶ。市庁舎や地下鉄駅舎等で働く清掃労働者が67%(4,172名)で最も多い。

  間接雇用労働者は民間サービス会社に雇用される労働者で、業務指示は市から受けるが雇用契約はサービス会社と結んでいるため雇用不安を感じずにはおれない。サービス会社が中間利潤を持っていくため賃金も低い。
 
  ソウル市の今回の非正規職対策は同じような事情にある別の地方自治団体や公共部門に及ぼす波及効果が少なくないと見られている。サービス会社に保障する利潤と管理費、付加価値税のような経費を減らし、むしろ予算を節減することができるという点は、予算負担を憂慮する自治体・公共部門に示唆するところが大きい。イ=ナムシン韓国非正規職労働センター所長は「相当に前向きな案である。ソウル市の影響力等を勘案するとき、影響を及ぼしうるものだ」と話した。

  ソウル市区庁長協議会は去る9月、韓国非正規職労働センターに学術サービスを任せ、来月にそのサービス結果が出れば、これを土台として各自治区の状況を反映して賃金・処遇改善等の非正規職対策を整えていく計画だ。

 韓国労働社会研究所の資料を見ると、経済活動人口の中で間接雇用非正規職の今年の平均賃金は126万ウォン(約94,000円)で、正規職の278万ウォン(約207,000円)に比べてとても低い。週あたりの勤務時間は正規職が43時間である一方、間接雇用非正規職は47時間でより長い。有給休暇は正規職の89%が使用しているのに対して、非正規職は半分の水準である47%だけが使用し、時間外手当も正規職が70%を受けているのに対して非正規職は31%にとどまった。

 処遇が劣悪で雇用が不安だが、間接雇用非正規職は増えている。統計庁の資料を見ると、非正規職労働者の中で間接雇用比重は2009年13.2%から今年15.2%に増えた。公共部門はさらに深刻だ。雇用労働部の2008年300人以上の社内下請け調査を見ると、社内下請けを活用する比重は公企業が75.8%で、民間企業の58.0%よりさらに高 い。

 ソウル市の非正規職対策に補完する課題もある。従事者が最も多い民間委託分野対策は来年からに先送りされた。ソウル市はタサンコールセンターと青少年修練館、老人総合福祉館等、1兆119億ウォン規模の行政事務3882件を民間に委託している。この分野の従事者は1万3,000名に達する。

 朴元淳(パク=ウォンスン)ソウル市長は「非正規職問題は韓国社会の統合と持続可能な未来発展のために、必ず解決しなければならない必須課題だ。公共部門が非正規職問題解消の先頭に立たなければならない」と話した。

この記事を書いた人