成長と格差是正、両立カギ 韓国大統領に朴氏

 日系Web版 2012/12/20

 【ソウル=尾島島雄】韓国大統領選で当選した保守系与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)氏は、財閥を活用して経済をけん引し成長につなげる政策の青写真を描く。選挙戦で争点となった財閥改革には穏健な姿勢で臨む方針だ。ただ、庶民の目には「財閥は富を独占した」としか映らない。雇用拡大や中小企業の育成で成果を出せなければ、世論に抗しきれず財閥たたきを強める可能性も否定できない。
 
大統領選の結果を受け、主要財閥はいずれも公式コメントを発表していない。サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は不在者投票が始まる前の今月3日に出国し、年末まで帰国しない見通し。無関心を装ったとの受け止めがある。

 だが、サムスンや現代自動車、SK、LGなどの大手財閥の本音は「朴氏の当選待望」。19日は大企業の多くが休日。あるサムスンの役員は「出社していないが、誰もが喜んでいるはず」と笑顔を見せた。現代自幹部も「気分的には楽になる」と語った。

 財閥が朴氏を支持する理由は、民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏の政策が反大企業一辺倒と映ったためだ。李明博政権が選択したウォン安政策は、物価を押し上げて庶民生活を圧迫。若年層の就職状況も改善しない。輸出を増やす大企業のエリートだけが潤っていると不満を持つ世論を捉え、文氏は強力な財閥改革を打ち出した。

 特にサムスンや現代自のように、創業家が少ない持ち株で多数のグループ企業を支配する循環出資構造を「3年以内に解消する」と明言。政治がこの方向で動けば、世論が刺激され、創業家による支配に批判が強まる懸念もあった。

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