東京新聞 2012年12月29日
雨の中、安倍政権発足後では初めて首相官邸前で脱原発を訴える人たち=28日、東京・永田町で(伊藤遼撮影)
毎週金曜日の夜、政府に原発廃止を求める年内最後の「官邸前デモ」が二十八日、行われた。原発維持の姿勢が鮮明になった第二次安倍内閣が発足してから初めて。冷たい雨の中、太鼓をたたいたり、「命を守れ」とコールしたりして、主が代わった首相官邸に向けて脱原発を叫び続けた。政権交代で原発推進の流れができることへの不安が多く聞かれた。
横浜市栄区の無職井端淑雄さん(70)は、安倍政権について「原発の安全神話や原子力ムラを作り上げてきたのが自民党。『二〇三〇年代の原発ゼロ』方針の見直しもとんでもない」と憤る。敷地内に活断層がある恐れがあり、再調査を始めた福井県の関西電力大飯原発についても「薄氷の上にあるようなもの」と訴えた。
デモに来たのは四、五回目という千葉県習志野市の保育士渡辺順子さん(62)は、故郷を追われた福島県からの避難者を心配する。「自分のふるさとに帰れない人たちがもう二回目の年を越してしまう。何もできないけれど、来年もここに来続けたい」と話した。