慰安婦発言影響?橋下氏の米国視察に暗雲 身内からも厳しい視線

産経ニュース 2013.5.23
 
大阪市の橋下市長=20日夕、大阪市役所
慰安婦制度をめぐる発言で、米国からの批判も招いている日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、6月に予定している米国視察の雲行きが怪しくなってきた。日程調整が難航している上、市議会の一部も延期を要求。当初は「(面会予約が)取れなくても行く」と強気だった橋下氏も見直しの可能性に言及し始めた。公約で掲げた水道事業統合案も市議会委員会で否決されるなど、橋下氏への逆風は止みそうにない。

 「現地企業への面会予約を行っているが、回答がなかなか戻ってこない」

 20日午後、視察の日程調整を担当する市職員は、6月中旬の訪米を前に現地行程が固まらないことに気をもんだ。

中韓系住民多く

維新幹事長の松井一郎大阪府知事とともに、ニューヨークと大阪市の姉妹都市のカリフォルニア州のサンフランシスコを訪問する予定だが、ニューヨーク州上院は1月29日、慰安婦制度について「人道に対する罪」と指摘する決議案を採択。同下院でも今月7日、同様の決議案を採択した。一方、カリフォルニア州は中国や韓国系といったアジア系住民が多く、サンフランシスコ市長は中国系だ。

 大阪市では現地の要人らとの面会の約束を取り付け、5月下旬には視察日程を固める予定だったが、下旬になっても調整に苦労しているという。市役所内では「慰安婦発言が影響したのでは」(市幹部)とみる向きは少なくない。

 視察は、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」などを軸にした大阪活性化に向け、「サンフランシスコやニューヨークを訪れ、参考にする」(橋下氏)という目的で組まれた。

身内から疑問視

だが慰安婦発言後には「批判を受けるかもしれないが、自分の考え方を伝える」と現地の団体などとの論戦も辞さない構えを見せており、維新共同代表としての“政務色”も帯び始めている。

 「(面会の予約が)取れなくても行く。街並みを見て、都市の状況を感覚でつかんでくるのが第一の目的だ」。橋下氏は21日午前、こう強調した。

 だが、こうした姿勢に対して、21日午後の市議会委員会では、自民市議が「この時期に市長の立場で訪米するのは適切でない」と批判。松井氏からも「(面会予定がなければ)公務として行けない。単なる観光で行くことはない」と疑問視する声が上がり始めた。

 身内からも厳しい視線にさらされている橋下氏。22日夜、記者団に語った言葉からは、1日前の“勢い”は失われていた。

 「行政視察がなければ、まったく税金を使って行く理由がない。いろいろな情報収集をしており、最後はしっかりと総合判断したい」

 

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