パワハラ:住友生命が解決金4000万円で和解 大阪地裁

毎日新聞 2013年12月11日

 ◇元社員がうつになり退職 元上司が謝罪へ

 上司のパワハラでうつ病になり、退職を余儀なくされたとして、大阪の50代の女性が住友生命保険(大阪市)と元上司を相手取り、計約6300万円の賠償を求めた訴訟が大阪地裁(阪本勝裁判長)で和解した。元上司が女性への行き過ぎた言動を認めて謝罪し、住友生命側が解決金4000万円を払う内容とみられる。

 訴えによると、大阪府内の出張所長だった女性は2006年ごろから、保険契約の成績が不十分だとして、朝礼で男性上司から「所長のせい」「組織を潰すんか」などと叱責された。

 また、女性が獲得した契約を他の社員の成績として処理するよう求められた。こうした営業成績の振り分けは保険業法で禁止されていることもあり、女性が拒むと、この上司から「あほちゃうか」「所長を降りろ」と暴言を吐かれたという。

 女性はうつ病になり、07年7月に休職した。その後に復職したが、体調は戻らず、09年6月に会社を辞めた。

 女性の申請を受け、国の労働保険審査会は10年6月、「長時間の上司の感情的な叱責は、指導の範囲を超えている」として労災と認定。女性は翌年6月、慰謝料や退職による逸失利益を求め提訴した。

 住友生命側は訴訟で「成績の振り分けを強要したことはない。上司は女性を指導したが、奮起を期待したもので、業務の範囲内だ。嫌がらせやいじめはない」などと反論していた。

 女性の代理人と住友生命は取材に「何も話せない」としている。【内田幸一】

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