橋下市長「vs労組」で敗訴 事務所退去問題 大阪地裁「著しく妥当性欠き違法」

産経ニュース 2014.9.10

 大阪市が市職員の労働組合に市庁舎からの事務所退去を求めたのは違法だとして、労組と傘下団体が市に処分の取り消しと損害賠償を求めた2つの訴訟の判決が10日、大阪地裁であった。中垣内(なかがいと)健治裁判長は「処分は社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたもので違法だ」として市に処分の取り消しと、一部賠償の支払いなどを命じた。

 原告は、連合系の大阪市労働組合連合会(市労連、組合員約2万8千人)と傘下5団体、全労連系の大阪市労働組合総連合(市労組連、組合員約3千人)と傘下1団体。市労連はすでに大阪市内のビルに事務所を移しているが、市労組連は現在も市庁舎内に事務所を設けている。

 訴状などによると、市は平成24年1月、橋下徹市長の方針に基づき、労組側に24年度からの事務所使用を認めないことを通告。その後も事務スペースが必要になったなどとし、労組からの事務所使用許可申請を不許可としてきた。

 労組事務所の退去問題をめぐっては、大阪府労働委員会が今年2月、「市が十分な協議を行わず、一方的に通告したのは組合への支配介入に当たる」と判断。市に再発防止を誓約する文書を労組側に提出するよう命じたが、市がこれを不服とし、現在は中央労働委員会で再審査が進んでいる。

 市は「主張が認められず残念。今後は判決の詳細を精査し、対応を検討する」とのコメントを出した。

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