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2015年7月7日05時14分
トヨタ自動車の労使は、「家族手当」を大幅に見直すことで大筋合意した。月額約2万円の専業主婦(夫)らの分を廃止する代わりに、子どもの分をおおむね4倍に増額する。来年1月以降、段階的に実施する。女性に就労を促し、子育ても支援する国の政策を先取りする形だ。
トヨタの家族手当は月給の一部で、現在は子ども1人あたり月5千円が基本だが、新制度では2万円に引き上げる。一方、社員の妻か夫が働いていない場合や、年収が103万円以下の場合に払っている分(月1万9500円)は打ち切る。これらにより、子どもが2人以上いる社員は手当が増えるが、妻が専業主婦などで子がいない場合は逆に減る。全体の会社支払額は変わらない見通しだ。
経営側は配偶者の分を2019年に完全に打ち切る考え。しかし、労働組合側は手当が大きく減る社員に配慮して21年ごろまで遅らせるよう求めており、労使で協議を続ける。また、社員の親が高齢で働いていない場合も、新制度の対象にするかなども話し合う。
人事院の昨年の調査によると、家族手当の制度を持つ事業所の93%が、専業主婦らを対象にする。これに対し、安倍政権は人口減対策として子育て支援の強化に加え、女性の就労を促す方針を打ち出している。
「専業主婦の働く意欲を損ねている」との指摘がある所得税の配偶者控除の見直しを検討するほか、昨年末の政労使会議では、企業の配偶者向けの手当見直しも検討することで合意した。産業界を代表するトヨタに続き、ほかの大企業にも同様の動きが広がる可能性がある。(友田雄大)