熊本地震、次々誘発か 大分へ震源移動、専門家の見解は

朝日GIDITAL 2016年4月17日08時17分
http://www.asahi.com/articles/ASJ4J34RPJ4JULBJ00F.html

写真・図版:断層とみられる地割れのような跡が見られた=16日午後3時3分、熊本県嘉島町周辺、朝日新聞社ヘリから、白井伸洋撮影(省略)
 
写真・図版:山肌や崖が大きく崩れ落ち国道57号を分断。阿蘇大橋も崩落した=16日午後3時2分、熊本県南阿蘇村、朝日新聞社ヘリから、河合真人撮影(省略)

 14日夜に熊本県益城町で震度7を観測したマグニチュード(M)6・5(暫定値)に続き、16日未明に起きたM7・3の「本震」。同県阿蘇地方や大分県でも地震が起きている。何が起きているのか。

 16日未明のM7・3の地震が14日のM6・5の地震の余震が起きている地域で起きていることから、政府の地震調査委員長の平田直・東京大地震研究所教授は「14日の地震が今回の前震だったとする気象庁の見解の通りだと思う」と説明。

 山岡耕春・名古屋大学地震火山研究センター教授は「14日の地震に誘発され、16日の未明の地震など新たな地震が次々に起きているとみるべきだ」と指摘する。「余震も14日までの地震に比べて北東側に広がっているようにみえる」と話す。

 大分県にも広がっていることについて平田教授は「16日未明のM7・3の地震に刺激されて、元々地震が起きやすい状態のところで誘発された可能性がある」と分析する。

 こうした広がりについて、国土地理院の宇根寛・地理地殻活動研究センター長は、日本列島の地殻変動を分析。「14日のM6・5の地震は日奈久(ひなぐ)断層が動いたという要素が大きいが、今回は既存の布田川(ふたがわ)断層が右横ずれを起こしたことでデータは説明できる」と話す。

 気象庁は、16日午前1時27分、有明・八代海沿岸に津波注意報を出したが、同2時14分に解除した。気象庁によると、津波は観測されなかった。注意報を出した理由について「M7・3ぐらいの規模の地震が発生すると、海の方まで断層が伸びている可能性があるので、注意を呼びかけた」と説明している。

■前震・本震・余震の違い

 通常、最初に起きた大きな地震を「本震」という。本震が起きる前に、震源となる場所の付近で前触れとも言える地震が起きることがあり、その地震が「前震(ぜんしん)」と呼ばれている。

 前震は本震の直前から数日前に起きることが多い。ある地震が起きたとき、その地震が前震であるかどうかを判断することは現状では難しい。後に、本震の前に近くで発生し、本震よりも規模(マグニチュード)が小さいなどの条件を満たすものが前震と位置づけられている。

 本震の後に、その周辺でより小さい地震「余震」が多数発生する。これまで発生した地震の記録から、余震の規模は本震に比べてM1程度よりも小さいことが多く、ある程度、規則的に減っていくことが確認されている。一方、前震の規則性ははっきりしていない。2011年3月の東日本大震災(M9・0)では、2日前にM7・3の地震があり、後に前震と判断された。
 

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