大阪民主新報 2008年11月23日
子どもを貧困から守れ
困難な親に支えを
働き方ネット大阪(会長=森岡孝二・関西大学教授)は13日、大阪市中央区内で、「第7回つどい――親の働き方と貧困」を開き、約90人が参加しました。
主催者あいさつで森岡孝二関西大教授は、子どもの中に広がる貧困の背景に親の働き方の問題があるとし、「子どもに貧困の責任はない。解決の道を共に考え行動しよう」と呼び掛けました。
小学校教諭で、大阪教職員組合の渡部有子さんが教育現場から見えてくる子どもの貧困と親の働き方の実態についで講演。非正規雇用や母子家庭、就学援助世帯の増加に触れ、「子どもの貧困は点から面へと広がり、まず学校現場の荒れとして現れてくる」と指摘。母親の就労が不規則なため夕食も朝食も食べずに登校する子どもや、家族の代わりに幼いきょうだいを子守したり、閉店したスーパー前に親子で野菜くずを拾いに来る例などを紹介。「無保険の子ども」の問題に触れ、視力が落ちても眼鏡を買ってもらえない子や虫歯を放置したままの子どもが急増していると述べました。
渡部さんは、子どもに広がる貧困の背景に、非正規労働者などワーキングプアの増加に加えて行政施策の遅れがあると強調。子どもの貧困率など国際統計を示し、OECD主要国のうち日本では所得再分配後も貧困率が上昇していると述べ、行政施策によって社会格差が広がり貧困問題を深刻にしていると批判。就学援助の基準改悪や高すぎる学費の問題と合わせ、中学校給食の遅れや橋下知事が進める私学助成削減など、大阪の教育施策の問題点を指摘しました。
リレートークで3人が発言。養護教諭の女性は、学校現場から子ども家庭センターに通告した虐待事例を紹介。貧困の深刻さと親によるネグレクト(育児放棄)の関係を指摘した上で、「児童虐待は許せないが、困難に直面する親の実態を社会的に支え、支援しなければ解決にはつながらない」と関係省が手をつなぎ協同する必要かあると述べました。
シングルマザーの女性は、児童扶養手当をはじめ家賃補助や奨学金など行政の支援施策の後退で、生活がますます厳しくなったと述べ、府内の高校生は、学費のためにアルバイト漬けになっている友人の声を紹介し、「誰もが夢や希望をもって高校教育を受かられるようにしてほしい」と訴えました。
集会では「貧困から子どもを守るネットワークを拡げよう」とのアピールを採択。府立高校非常勤職員雇い止め問題で関係者が支援を訴えました。
集会後、働き方ネット大阪は2008年総会を開催。活動方針を決め、森岡孝二会長(再任)など新役員を選出ました。