会社ってなんだ?――「沈まぬ太陽」を見て

地域労組おおさか青年部
中嶌 聡

3時間40分の大作「沈まぬ太陽」を観て来ました。

1985年の御巣鷹山でおきた日本航空の墜落事故をモチーフにしつつも、現在の日本航空の再建に関するニュースや、JR西日本の福知山線事故に関するニュースなどが取りざたされている今に、まさしくふさわしい映画だと感じました。また、個人的に、労働組合の幹部として、また一人の人間としての「在り方」について考えさせられる・学べる本当に良い映画でした。

ネタバレになると申し訳ないので簡単に書きますが、「詫び状を書けば日本に戻れる」と報復人事で海外配転を言い渡され続ける元委員長が「誰に何をわびれば良いのかわからない」と言い放ったり、「自分たちがやってきたことは会社のためだ」と言い切るシーンなど「そのとおりだ!」と何度も相槌を打ってしまいました。一方で相反する生き方を選び会社に迎合し昇進を重ねる元副委員長。この二人の生き様が対照的に描かれていてそしてそれがまたリアルで、考えさせられました。

また、映画の途中利益に走り、報復人事を主人公以外にも行い続ける会社にあきれ「会社ってなんだ?」と問うた主人公の言葉が印象的だった。

プロフェッショナルの流儀で村田さんが行っていた「働くものの誇り」を守れない会社、守ろうとしない会社、そんなものどうでもいいといわんとする会社、社会から任された「役割」である「安全に輸送する」ことをないがしろにし、儲けに走る会社、そしてそれに翻弄される人たち。

「会社ってなんだ?」

今働くすべての人は胸を張って「俺の会社ってすげーで!」と言えないのではないでしょうか。

そんな「今」に、誰もがどこかで会社に対する不信感を持ち続けながらも生きていくために他の手段がなく、迎合するしかないかのように”思わされている”、そんな「今」に、No!といえる勇気を与え、No!と言っている人たちを励まし、より強いYes!を実行する後押しをしてくれる映画でした。

最近の「官僚の夏」「不毛地帯」といったドラマから続く「実直さ」を前面に押し出す作品が出てきている今を象徴するようなふさわしい映画だと思います。

航空会社の事情や安全が損なわれていく過程など、以前民主法律協会主催で参加させて頂いた、航空連の見学会で見たり聞いたりした内容が似ているところも大いにあり、映画を観ている間、学習会の内容を何度も思い出しました。

また、実は「あんまり人いないんじゃないかな」と思っていたら、7割くらいは座っていて、若い人も多く観ていました。こういったメインではなくても、労働組合がドラマや映画やドキュメンタリーで目に触れる機会が多い情勢の中で、大胆に「闘い、かつ、共感される労働組合」を世論に訴えていくチャンスだなと思いました。

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