中日新聞 2010年6月15日 朝刊(共同通信配信)
過労が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、2009年度に労災申請した人が前年度より209人増の1136人で過去最高だったことが、厚生労働省のまとめで分かった。労災認定された人は35人減って234人で過去3番目に多く、このうち未遂を含む自殺の認定は3人減の63人だった。
厚労省は患者数自体が増えていることや、昨年職場での精神疾患に関する労災認定基準を改正し新たな項目を加えたことが約22%も申請が増えたことにつながったとみている。同省は職場の健康診断に精神疾患に関する項目を追加することを柱とする自殺防止対策をまとめている。
労災認定された234人について原因となった出来事をみると、「仕事内容に大きな変化があった」が55人(うち自殺23人)と最も多く、「悲惨な事故や災害の体験をした」が37人(同0人)、「勤務・拘束時間が長時間化した」が25人(同13人)など。
就業形態別では正社員が207人、パート・アルバイトが15人、契約社員が6人、派遣労働者が4人など。
一方、脳梗塞(こうそく)など脳・心臓疾患で労災申請した人は122人減の767人で、認定者数は84人減の293人。うち死亡したケースの認定は106人で、52人減った。
認定されたうち、職種別で多かったのは自動車運転者が84人、商品販売が33人、一般事務が25人。1カ月の平均残業時間は80?100時間が最多で119人。100時間以上も143人いた。
当初労災と認められず、審査請求や訴訟で逆転認定されたのは精神疾患で13人(うち自殺11人)、脳・心臓疾患で10人(うち死亡6人)。
精神疾患に関する訴訟の提起は37件(前年度34件)で過去最多だった。