毎日新聞 就職内定率:過去3番目の低率 心身のケア急務

 毎日新聞 2012年3月16日

今春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日現在)は80.5%と、過去3番目に低い数値となった。就職先が決まらぬ4年生からは後悔や落胆の声が上がる。追い詰められる学生を救おうと、大学も対策に乗り出している。【遠藤拓】
 
3月に入り、最終盤を迎えた大学4年生の就職活動。13、14日に東京都内で開かれた合同就職説明会「就職博2013」(学情主催)には、3年生らを含めて約2300人が参加。3割程度が4年生とみられ、4月から新社会人となることを目指して駆け回った。
 
「3月いっぱいは全力で就職先を探すつもり」と話す大妻女子大の女子学生(22)は疲れた表情。約80社受けたが内定はない。「えり好みせず、もっとたくさん受けておけばよかった」と後悔をにじませた。就職先が決まらなければ、卒業後に就職に有利な資格を取って再挑戦するつもりだ。
 
帝京大の男子学生(22)も50社受けたが内定はまだ。「連敗して落ち込み、くよくよすることが多くなった」と打ち明ける。決まらなければ、4月からはアルバイトをしながら活動を続けるという。
 
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厳しい就職事情が続く中、筑波大のキャリア支援室は09年度に初めて就職相談専任担当を1人置き、昨年度はさらに5人増員した。相談件数は年間延べ2000件にも。「いくら頑張っても内定を取れない」「卒業か就職留年で迷っている」といった声が相次ぐ。
 
富山大も10年度に「学生なんでも相談窓口」を新設。内定が取れず「大学に行く気力がなくなった」「眠れなくなった」という相談が寄せられるという。担当の八島不二彦心理士は「就活は大きな壁。3、4年生の大半は悩んでいると感じる。就職難に拍車がかかると心身の負担も大きくなる」といい、じっくり話を聴きながら学生の心のケアに努めている。
 
筑波大保健管理センターの杉江征准教授は「就活は全人格を評価するものでない。不採用が続いても『自分は価値がない』と思わないで」と呼び掛けている。

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