病気を抱えた労働者の職場復帰や治療と就労の両立支援のあり方をめぐり、厚生労働省の検討会がまとめた報告書が30日、明らかになった。平日でも病院に通えるよう時間単位の有給休暇制度や短時間勤務制度を導入するよう企業に求めている。
報告書は、職場復帰に向けて治療を受けている労働者を約100万人と推計。医療技術の進歩や労働人口の高齢化を背景に、治療を受けながら就労する労働者の割合は今後も増加するとして企業、医療機関、行政が連携した取り組みを行う必要性を強調している。
厚労省の平成23年調査によると、時間単位の有給休暇制度を導入している企業は7・3%。報告書は、パートなど非正規労働者については取り組み対象にすらなっていないとした上で、「職場復帰に向けて柔軟な雇用管理の取り組みが十分に整っていない」と指摘した。
医療機関についても一部労災病院では外来診療や人間ドックを土日に実施しているものの、全体的には「患者の就業状況への考慮が不十分」と分析。可能な限り仕事を休まずに済むような形で治療方針を決定するよう求めた。
高齢化に伴い、会社などでの定期健康診断で異常がみつかる人の割合は52・5%(22年)と半数を超えている。一方で医師から糖尿病と診断されてもほとんど治療を受けていない人は約4割もおり、産業医などによる健康診断後のフォローアップの必要性も訴えた。
行政については(1)支援を必要とする労働者の規模・ニーズや企業などの取り組み状況の実態把握(2)医療機関や企業が取り組むべき方策をまとめたガイドライン、マニュアルの作成−などを要請。縦割り行政を廃し、一元的な取り組みを行うよう求めている。