大阪府は、橋下徹前知事時代に財団法人への委託を打ち切った府立国際児童文学館(児文館、東大阪市)の寄贈図書収集について、13年度から委託を復活させる方針を固めた。委託中止に伴い、資料散逸などを懸念した出版業界からの寄贈は年約8000点から一時5000点以下に減少。府は収集を円滑に進めるには財団の活用が不可欠と判断した。
児文館を巡っては、府が10年に雇用期限を今年3月末と決めた専門職員2人について、今年に入り一転4月以降も雇用継続の方針を固め、「橋下改革」の転換が相次いでいる。
委託先は財団法人「大阪国際児童文学館」。旧児文館は84年、万博記念公園内(吹田市)で開館して以来、同財団が運営。長期保存を約束して出版各社から寄贈を募ってきた。専門職員4人が児童文学の書評執筆や一般向けの講演を積極的に行っていることも出版社側から評価され、寄贈につながっていた。
橋下氏は10年5月、旧児文館を府立中央図書館(東大阪市)内に移転させるのに併せ、財団の運営が非効率だとして委託を打ち切り、府直営とした。このため、児文館の専門性が低下したり、図書が長期保存されるのかといった懸念が広がり、寄贈は、10年度4814点▽11年度5649点−−と低迷。府教委地域教育振興課は「出版業界と長年の信頼関係がある財団の協力が必要」としている。【熊谷豪】