共働きの女性、管理職には二の足 福井、割合は全国41位の12%

 福井新聞 2013年3月1日

 福井県内の女性は共働き率全国1位、就業率全国2位と“社会進出”が進む一方、管理職に占める女性の割合は11・73%と全国41位に低迷している現状が、県がまとめた男女共同参画年次報告書で明らかになった。仕事、家事、育児に追われ、その上で管理職になることには二の足を踏む福井の女性の姿が浮かび上がり、県男女参画・県民活動課は「女性のゆとりの時間を創出し、スキルアップにつなげられるような施策を考えていきたい」と話している。

 報告書は県や市町の男女共同参画の状況などを、5年に1回の国勢調査などを基にまとめている。2010年の国勢調査によると、県内の共働き率は56・8%で95年以降は全国トップ。就業率も50・9%で全国2位の水準にある。

 一方、管理職に占める女性の割合11・7%は、05年前回調査の全国最下位(9・38%)を脱し、初めて2桁台に乗ったものの、全国平均13・98%からは2ポイント以上の開きがある。県庁本庁の女性管理職率2・6%(12年度)は全国42位、県の審議会などの委員に占める女性の割合でも本県の31・6%(11年度)は全国39位にとどまっている。

 男女共同参画推進の旗を振る県自らが、女性管理職の割合が低い点について、人事企画課は「今後はこれまで女性を配置してこなかった財務や企画の分野にも女性を積極的に登用し、管理職を増やす努力していく」と説明する。

 こうした中、注目されるのが「女性のゆとりの時間」。総務省の11年調査によると、県内の女性が趣味や学習、ボランティアなど余暇活動に充てる時間の平均は1日4時間49分。全国37位の水準で全国平均5時間3分より短かった。対して仕事、家事、育児に割く時間8時間55分は全国7位。男女参画・県民活動課は「本県の女性は非常に多忙。自己研鑽(けんさん)のための時間が十分でない」と分析している。

 対策として県は08年から、企業の女性リーダー候補を集めた啓発講座を毎年開催。また、男性の家事、育児参加をうながす講座なども実施し、男性の意識改革のきっかけ作りに取り組んでいる。

 一方「福井は全国的に人口転入、転出率が低い。定住性が高いエリアは保守的な傾向があり、男女ともに『男性は仕事、女性は家庭』という考え方が根強い」と指摘するのは県立大の塚本利幸准教授(社会学、社会調査)。保守的な考え方が女性管理職が少ない要因の一つともみており、幼少期から男女共同参画教育を強化するなどの地道な対策が必要としている。

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