【パリ=浅田信幸】ローマで18日、緊縮から雇用重視への経済政策転換を求めるイタリア金属機械労組(FIOM)の大規模なデモと集会が行われ、国営のイタリア放送協会(RAI)テレビニュースは10万人が参加したと報じました。政府に要求をぶつけるデモは、中道左派・右派の大連立によるレッタ政権の発足後、初めて。
現地からの報道によると、ローマ・テルミニ駅近くの共和国広場から出発した参加者は、「われわれはもう待てない」と書かれた赤い横断幕を先頭に市内を行進し、サンジョバンニ広場で集会を開きました。
集会で演説したランディーニFIOM書記長は「経済政策を転換させるために全力を尽くす」と述べ、緊縮策最優先の前政権との「断絶がなければ、いまの政権は長くはもたない」と、レッタ政権に警告しました。
前モンティ政権が進めた緊縮政策で不況に落ち込んだ同国は、失業率が11・5%に上昇。とくに25歳以下の若年失業は38%の高率に達しています。社会福祉の切り下げで生活苦による自殺者も増え、職を求めて国外に移住する若者も激増しています。
4月末に発足したレッタ政権は、緊縮から成長・雇用重視へと政策転換を公約。ただ2月末の総選挙で議会の安定多数を握る勢力が生まれなかったことから、対立を抱えた中道左派と中道右派の「大連立」となり、政策の優先順位にも中道左派と中道右派との間でバランスをとる必要があります。2月選挙で有権者は、緊縮批判とともに政治変革への強い要求を示しました。「われわれはもう待てない」の声に応えて、レッタ政権がどれだけ素早く対策を打ち出せるかに、政権の存続がかかっています。