妊娠・出産などで不利益が過半数 労働相談、セクハラの

福井新聞 2013年6月18日

2012年度雇用均等行政 労働者からの相談件数 2012年度雇用均等行政 労働者からの相談件数

 福井労働局が発表した2012年度の雇用均等行政に関するまとめによると、労働者からの相談のうち、妊娠や出産、育児に関する内容が過半数を占めた。セクハラに関連した相談の3倍以上に上る。紛争解決の援助件数も6件のうち5件が同様の内容だった。

 雇用均等行政が受ける労働相談は、男女雇用機会均等法関連と育児・介護休業法関連、パートタイム労働法関連のものがある。このうち妊娠や出産、育児に関する労働者の不利益な取り扱いは近年「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」とも呼ばれる。厚生労働省が発表した全国のまとめでは、妊娠、出産などを理由とする不利益取り扱いに関する紛争解決援助の件数が、セクハラの件数を上回った。

 福井県内では、集計方法の変更があり、前年度と単純に比較できないものの、同局雇用均等室の担当者は「妊娠、出産、育児に関する相談はこの10年、多い状態がずっと続いている」と指摘。全国的にマタハラの問題が顕在化する中、県内でも同様の傾向にあることが明らかとなり、対応が急がれる。

 労働者からの相談は294件。このうち152件が「妊娠を告げたら、辞めるように言われた」などといった、マタハラ関連の相談だった。妊娠、出産関連では正規、非正規労働者がほぼ同数だが、育児関係では正規労働者が4分の3を占めている。

 このほかの相談は、パートタイム労働法関連の相談が74件、セクハラ関連49件、介護関係14件などとなっている。

 事業主からの相談では、昨年7月に全面施行となった育児・介護休業法の改正に関する内容が目立った。

 紛争解決の援助では、男女雇用機会均等法関連と育児・介護休業法関連が3件ずつの計6件で、うち5件が出産や育児に関する内容だった。申し立てはすべてが女性労働者から。申請内容は、育休を拒否された期間従業員の事例や、育児時短を利用していた勤務者が正社員からパートに身分変更されたケースなどで、産休を拒否されたという申し立てもあった。6件のうち4件が非正規労働者だった。

 野添雅恵室長は「セクハラに関しては、防止意識が企業内に一定程度浸透してきている。一方、子育て支援への対応は遅れており、問題が目立っている」と分析。本年度、子育て支援関連の法令順守を事業主に呼び掛けるほか、非正規労働者向けに広報資料を作成して周知を図るとしている。

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