http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130711k0000m040055000c.html
毎日新聞 2013年07月10日
東京電力福島第1原発の敷地内で高濃度の放射性汚染水が検出されている問題で、原子力規制委員会は10日、汚染源の特定と対策を検討する作業部会を近く設置することを決めた。汚染水の海洋流出が強く懸念されているためで、水産資源の風評被害などを招かないためにも早急な対応が求められている。
高濃度の汚染水は、海から30メートル以内にある複数の井戸から検出。10日夕までの最高値はトリチウムが1リットル当たり60万ベクレル▽ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質90万ベクレル▽セシウム134が1万1000ベクレル▽セシウム137が2万2000ベクレル−−となっている。
東電は原因として、「事故直後の2011年4月に2号機取水口付近で汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた」と説明。「環境への有意な影響は見られない」との見解を示している。
しかし、10日の規制委の定例会では、港湾内の海水や、潮の干満に影響されにくい海側遮水壁の内側の海水では放射性物質の濃度が高い傾向があり「(東電の見解には)疑問がある」と指摘。原子炉建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れている可能性もあると見ている。
規制委の田中俊一委員長は10日の記者会見で「海洋汚染は大なり小なり続いていると思う」と述べ、更田豊志(ふけた・とよし)委員も「どれだけ危険が迫っているのか詰める必要がある」と懸念を示した。新設の作業部会では外部の有識者を加えるほか、東電の意見を聞いて、地下水の動きや汚染水の拡散状況を分析、原因と対策を考える。
汚染水は破損した原子炉建屋に地下水が流入し、残された核燃料に水が触れて発生し、1日400トンずつ増えている。政府は、建屋周りの地中の土を凍らせて壁を造り水の流入を防ぐ「凍土遮水壁(地下ダム)」の設置方針を示しているが、効果は不透明。汚染水を保管するタンクも敷地内に増え続けている。【鳥井真平】