再就職支援、実は人切り 「受け入れさせるための飾り」

朝日新聞 2013/8/26
http://www.asahi.com/business/update/0826/TKY201308250454.html

図:人事担当者との面談のやりとり(省略)

図:再就職支援ビジネス市場は高水準が続いている(省略)

東京近郊のターミナル駅。お盆休み明けで仕事に向かう人たちの流れに逆行するように、50代の元リコー技術者が向かったのは、駅から少し離れた人材会社のオフィスだった。
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久しぶりのカウンセラーとの「面談」だった。だが、「紹介されたのは牛乳の訪問販売の仕事。あとはいつものように雑談と世間話」。

職を失って3回目の夏。思い出すのは、希望退職への応募を迫った人事担当者の言葉だ。「再就職支援会社があなたのキャリアを生かせる仕事を探してくれますから」

人事担当者に呼び出され、本社で面談したのは、全社で1万人の削減計画が打ち出された約1カ月後だった。「あなたに社内でお願いする仕事は用意できない」と言われ、どうやって帰宅したかも覚えていないほどのショックだった。

それでも再就職支援が受けられることが唯一の支えに思えた。人材会社のオフィスにいくと、本社から来たという担当者がこう説明した。

「半年ぐらいで大丈夫、再就職できます」「御社は大事な顧客。全力で支援します」

だが、支援の中身は、「自己PR」の仕方などの研修と、2週間に一度の「面談」が中心だった。紹介される求人情報も、ネットなどで得られるものと大差はない。

1年がたつ頃には、担当者は厳しい言い方に変わった。「ご希望のIT関連で50代の人を採ろうという企業はないですよ」。再就職先も、高速料金の徴収や運転手、警備など経験や希望とはほど遠い仕事を勧められるようになった。

人材会社は「再就職率」の高さを強調する。だがその実績には、派遣など有期雇用の採用が含まれていた。カウンセラー自身も、リストラをされて人材会社の契約社員として採用され、契約を維持するには、再就職率の数字を上げなければいけない状況にあるとも聞かされた。だからだろうか。「最近は、派遣でもいいから、いい加減そろそろ再就職先を決めたらどうだという感じ。『全力で支援』なんてうそだ」(以下会員限定)。

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