働き方ASU-NET第23回つどいが開催されました

2015年12月9日(水)、午後6時半より9時近くまで、エルおおさか(大阪府立労働センター)南館10階1023号室において、「これでええんか! 雇用と貧困」をテーマに、NPO法人働き方ASU-NET第23回つどいが開催され、会場を埋める120名が参加し、成功裏に終わりました。

このつどいでは、『雇用身分社会』(岩波新書)を著した森岡孝二さんと、『下流老人』(朝日新書)を著した藤田孝典さんから、今日の雇用問題と貧困問題について熱い話を聞くことができました。

森岡報告でも強調されていたように、パート、アルバイト、契約社員、派遣など多様な雇用身分で働く非正規労働者が4割にも達しています。女性は以前から非正規が5割を超えていましたが、いまでは若年層と高齢層は男女の合計でみても半数前後は非正規です。低賃金の非正規労働者が増えるなかで格差と貧困が一段と広がっています。女性と子どもとの貧困はとくに深刻です。

また藤田報告で言われていたように、年金や収入が著しく少なく、蓄えも頼れる身内もない老人が増え、このままいけば「一億総老後崩壊」の時代がやってくる状況になっています。いまこそ雇用問題と貧困問題に真剣に向き合い、抜本的な制度改革を闘いとらなければ、もはやこの国に未来はありません。雇用も老後も不安ななかで、先の見えない生きづらさが募るばかりの状況をなんとか改善していかねばなりません。

今回の集いを計画するきっかけになったのは、本年9月5(土)〜6日(日)の高原ロッジメープル猪名川におけるASU-NETの合宿での議論でした。講師の藤田さんは『下流老人』の爆売れにともなう講演と取材・出演で多忙を極めるなかでお出でいただけてラッキーでした。親子ほど歳が違う森岡・藤田のコラボができて盛り上がったのは、いまのところASU-NETだけです。この場を借りて遠路お越しいただいた藤田さんに厚くお礼を申し上げます。

安倍政権は、大企業には法人税減税を行う一方で消費税を増税し、生活保護基準の切り下げをはじめ、社会保障制度改悪の暴走政治をますます加速させています。さらに、労働法制改悪を狙い、定額働かせ放題の「高度プロフェッショナル制度」の創設や、裁量労働制の新たな拡大を押しすすめようとしています。

わたしたちは、今後も、貧困と格差の是正、大企業中心の政治経済からの転換、雇用の安定と社会保障の拡充をめざして活動していくとともに、労働者のいのちと健康、くらしと権利を守るため、多くの人びととの共同を広め、運動を広げていきます。

                                                   2015年12月14日

                                                      NPO働き方ASU-NET理事 北出 茂
 

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