毎日新聞 2013年10月02日
スーパーのヨークマート(東京都千代田区)の店舗で働いていた30代の元男性社員が、「管理監督者ではないのに残業代が支払われていない」として残業代の支払いを求めた訴訟で、同社が残業代など720万円を支払ったことが2日分かった。男性が記者会見して明らかにした。
管理監督者であれば、経営の重要な決定に参加したり、出社や退社時間を自分で決めたりすることが認められる。流通業界では、管理監督者に該当しない「名ばかり管理職」の店長らが管理監督者として扱われ、残業代が支払われないことが問題になっている。
男性は埼玉県内の店舗で総菜部門担当のマネジャーとして働いていたが、パートの採用決定の権限もなかった。残業は月平均80時間、多い時は100時間を超えたが、残業代は支払われなかった。男性は過去2年分の残業代などの支払いを求め東京地裁に提訴。裁判所から「原告は管理監督者には当たらないのではないか」と見解が示され、会社側が720万円を支払ったという。
男性は「私以外の『名ばかり管理職』は不払い残業が続いている。会社の姿勢を改めてもらうために公表した」と話した。ヨークマートは「会見の事実を把握しておらず、コメントは差し控えたい」としている。【東海林智】