日本経済新聞 2013/10/21
成長戦略の柱となる国家戦略特区での規制改革を巡り、政府が推進体制の立案を急いでいる。安倍晋三首相は21日の衆議院予算委員会で、規制官庁の閣僚に「意見を述べる機会を与えるが、意思決定には加えない方向で検討している」と説明。国が進めるべきだと考える規制改革は経済効果を基準に首相主導で実現する方針だ。
法律や政省令で決めた規制の担当省庁は、規制をつくった過去の経緯や、見直したときの悪影響を恐れて、規制改革に尻込みしがちだ。民主党政権で始まった総合特区制度では規制官庁が会議に参加していたため、「議論がスムーズに進まないことがあった」(内閣官房幹部)。
国家戦略特区の選定では省庁から規制の内容や適用状況を聞くものの、改革の方針は特区諮問会議と統合推進本部で決める。特区の場所と主な規制改革の項目を決める特区諮問会議には首相、官房長官、特区担当相、経済財政相と民間議員らが参加する。
特区に選ばれた場所ごとに細かい規制改革の計画をつくる統合推進本部は、自治体の首長と特区担当相、民間企業が参加。いずれの会議も厚生労働相ら規制官庁の閣僚は必要に応じて出席し、意見を述べるだけにする。
政府は11月にこうした推進体制を盛り込んだ国家戦略特区法案を臨時国会に出す。思い切った規制緩和を進める舞台装置が整うことから、今後は首相と3閣僚らがどこまで本気で規制改革に取り組むかが特区の成否を分けることになる。