時事ドットコム 2013/11/30
写真(省略)取材に応じる津守一史・労働基準監督官=10月30日午後、東京都立川市
厚生労働省は、過度な長時間労働やサービス残業をさせる「ブラック企業」と呼ばれる会社の集中調査を進めている。違法な勤務状況を指摘し、是正させる労働基準監督官は最近、テレビドラマでも取り上げられ、注目度が増している。現場では、民間から転職してきた人や、子育て中の母親が奮闘している。
「誰が相談したのか会社には知られないので、抱え込まずに相談して」と話すのは、立川労働基準監督署(東京都立川市)の津守一史監督官(45)。1992年に就職した大手電機メーカーでは連日、約6時間のサービス残業で、土日も出勤。「おかしい。こういう状況を正せる仕事に就きたい」と転職した。
残業代の未払いを指摘しても認めない会社には、夜間に立ち入って調べることも。悪質なケースは、刑事事件として立件する。
大田労働基準監督署(大田区)の恒吉恵美監督官(41)は、6歳女児と3歳男児の母。民間の営業職から98年に転職した。「今は職場の理解があるが、前職では出産は難しかったかもしれない」と振り返る。育休復帰後は、近くに住む母親の協力を得ながら時短勤務で働く。夜間は、転倒事故で骨折した長女のリハビリに追われる。