毎日新聞 2014年01月24日 22時47分
熊本信用金庫(熊本市中央区)の「役職定年制」導入に伴う就業規則の変更は無効として、退職者10人が信金を相手取って給与などの未払い分約1億2000万円の支払いを求めた訴訟の判決が24日、熊本地裁であった。中村心裁判長は「変更は合理的と認められず、8人は変更に同意もしていない」などとして、原告10人のうち8人に約4400万円を支払うよう命じた。
判決によると、信金は2000年3月、就業規則を変更して55歳以上の給与を原則毎年1割ずつ最大5割まで削減する「役職定年制規程」を導入した。
中村裁判長はこの規程について「労働者の不利益は生活設計を根本的に揺るがし得るほど大きなものだが、導入の必要性は信金に破綻が迫るなどの高度なものがなく、不利益を緩和させる代替措置も不十分」と指摘。同規程に同意する意見書を提出した2人を除く原告8人に対し、時効が成立していない提訴から2年以内の未払い給与などの支払いを命じた。
信金は「主張が認められず残念。判決文が届いてから控訴を含めて今後の方針を検討したい」とコメント。信金によると、訴訟で争われた役職定年制規程は11年から最大3割までに給与の削減率が軽減された。【井川加菜美】