朝日新聞 2014年3月14日
福岡市が2012年に全職員に要請した1カ月間の自宅外禁酒について、福岡県弁護士会は13日、「人権侵害に当たる違法な通知だ」として、市にこうした通知はしないよう求める勧告書を出した。職員2人の人権救済申し立てを受けたもので、勧告は警告に次ぐ重い措置。
県弁護士会は、飲酒による不祥事を防止しようとした禁酒令の目的については正当だと認めた。だが、禁酒令に反した場合に指導を行うことや、不祥事を起こした場合に市の処分が重くなることを踏まえ、「公権力による私生活への干渉」と判断。憲法で保障された自由権を著しく侵害する「重大な人権侵害」と結論づけ、二度とこのような通知をしないよう勧告した。
これについて高島宗一郎市長は「尊重すべき点は尊重する」としつつ、「職員の飲酒に起因する不祥事によって被害に遭われた方々の人権や、他の市民の思いも受け止めなければならない立場にあり、その時点において最善の策だった」とする談話を出した。
一方、救済を申し立てた職員の一人は、取材に対し「市長は勧告を真摯(しんし)に受け止め、真の人権感覚を身につけて、人権推進のリーダーとして頑張ってほしい」とコメントした。