内部告発5割超前向き、「不祥事なくすため有効」、通報者保護法には不満

2013/02/17 日本経済新聞

 勤務先の不祥事を知ったら内部告発しようと考えている人が5割超に上ることが16日、サラリーマンを対象に民間が行ったアンケート調査で分かった。2003年の前回調査を上回っており、前向きな人が増えている。ただ「告発は匿名で」という人が多く、内部告発者を保護するために06年に施行された公益通報者保護法が「機能していない」との不満も強い。

 アンケートは共同ピーアール(東京・中央)が昨年10月、関東、関西のサラリーマン300人を対象にインターネットを通じて実施した。

 不祥事を知った場合に「告発する」と答えたのは13・3%。「匿名でなら告発する」(40・0%)と合わせると計53・3%にのぼり、03年より7・3ポイント増えた。年代別では30代が最も高かった。

 内部告発の有効性については、41・0%が「不祥事をなくすため有効」と答えたほか、「まず内部で警告し、改善されなければ告発すべきだ」が40・3%で、全体の8割以上が肯定的だった。

 通報すべき内容は、複数回答で「経理操作」が67・3%で最多。次いで「業務や品質データの偽造・偽装」が62・0%、「インサイダー取引」が56・0%だった。「セクハラ・パワハラ」は35・7%、「個人情報の流出・漏洩」は32・7%。

 通報先は「監督官庁、警察、検察、公正取引委員会など」が40・3%で最も多く、「社外の所定の窓口」が26・7%で続いた。一方、インターネット掲示板は2・0%、ソーシャルメディアは6・8%でネット使用を考える人は少数派だった。

 内部告発した人が解雇など不利益な取り扱いを受けないよう定めた公益通報者保護法については「機能していない」が44・5%。「機能している」はわずか3・7%だった。03年の調査では「制定すべきだ」が7割を超えたが、施行後の今回は不満が強かった。

 内部通報に詳しい森岡孝二・関西大教授は「匿名でなら告発するという人が多いのは、声を上げると職場で不利益な扱いを受けるという不安が根強いことの表れだ」と指摘。「公益通報者保護法はどんな場合に保護されるのか分かりにくい。内部告発の促進に役立っていないのが読み取れる」と話している。

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