化学教諭の石綿労災認定…「実験準備で中皮腫」

読売新聞 2014年3月18日

 大阪府立高校の元化学教諭の男性(2007年に57歳で死去)が中皮腫で死亡したのは、授業の実験で使っていたアスベスト(石綿)が原因だとして、地方公務員災害補償基金大阪府支部審査会が公務災害と認める判断をしていたことがわかった。

 支援団体の関西労働者安全センター(大阪市)によると、小中高校での実験に伴う石綿被害を労災と認定したケースは初めてという。

審査会の裁決は1月8日付。同支部が09年に「職場での石綿の飛散状況は明らかでなく、あっても限定的」として公務災害と認めない決定をしたため、遺族が不服審査を申し立てていた。

 裁決書などによると、男性は1975年から府立高5校で勤めていたが、在職中の06年秋に激しいせきや発熱などの症状が表れ、中皮腫の診断を受けた。

 男性は2校目に勤務中だった78年からの6年間、化学の授業で、金属イオン溶液を石綿に染みこませ、金属の種類によって炎の色が異なるのを確認する「炎色反応実験」で使うため、ひも状の石綿を切断する作業を行っていた。審査会では「処理の際に高濃度の石綿粉じんに曝露ばくろした可能性が認められる」と判断した。

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