毎日新聞 2014年03月20日
全国のフランチャイズコンビニ店長約200人で組織する「コンビニ加盟店ユニオン」(池原匠美委員長)がセブン−イレブン・ジャパン(本社・東京都千代田区)に団体交渉に応じるよう求めた不当労働行為救済申し立て事件があり、岡山県労働委員会は20日、「加盟店主は労働組合法上の労働者」と認定した。団交を拒否することは不当労働行為であるとして、セブン−イレブン本社に要求を受け入れるよう命令した。
岡山県労委によると、コンビニ店主を労働者とした判断は全国の労働委員会で初めて。
ユニオンは2009年に結成。同年、セブン−イレブン本社に団体交渉を申し入れたが、同社は「加盟店主と会社には労使関係はなく、個別に話し合う」として拒否。ユニオンは10年に「個別の協議では対等な話し合いはできず、団交拒否は不当」として県労委に申し立てた。ユニオンには現在、セブン−イレブン以外のコンビニ店長も加盟している。
命令書は、実質的な契約内容が会社から一方的に決められている▽加盟店主の経営上の裁量は極めて限定されている−−などとして「加盟店主の独立性は希薄」として、「労働者」と結論付けた。
岡山県内でセブン−イレブンを経営する池原委員長は「本社と話し合いの場が持てることになってうれしい。目指すのは、本社と加盟店の共存共栄」と話す。他のコンビニチェーンの店主も、東京都労委に同じ申し立てをしているといい、「セブン−イレブン以外の加盟店主にも、励みになると思う」と語った。
セブン−イレブン本社は「極めて不当な命令で、再審査の申し立てか行政訴訟の提起をし、適正な判断を求める」とのコメントを出した。【五十嵐朋子】
◇脇田滋・龍谷大法学部教授(労働法)の話
当然の結果だ。加盟店主は、親会社に従属的で名ばかり個人事業主だった。今後、裁判などになって時間がかかるかもしれないが、加盟店主の労働条件の改善につながる。
◇小嶌典明・大阪大大学院法学研究科教授(労働法)の話
労働組合法の解釈を広げすぎており、問題だ。下請け業者なども労働者とみなされるようになる可能性があり、歯止めがきかなくなる。フランチャイズ契約を結んでいる場合、コンビニ店主は基本的には事業者で、事業協同組合を作るなど別の方法があるはずだ。