毎日新聞 2014年04月11日
正社員化の取り組みを説明するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長=東京都港区で2014年4月11日午後2時16分、神崎修一撮影(省略)
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は11日の記者説明会で、非正規社員1万6000人の正社員化計画について「店長ではなく販売員が主役の組織に変え、チームとして全員経営するため」と説明し、現場主導で収益向上を図る狙いを明らかにした。ユニクロを巡っては、社員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」との批判もあるが「あれも(正社員化の)一つのきっかけかもしれない」と述べた。
ユニクロでは現在、約3万人の非正規社員が働いている。今後2〜3年程度で、新規採用を含め、約1万6000人を地域限定の正社員にする。時短勤務など多様な働き方を認め、有給休暇や年金などの制度は正社員と同じにする。1人当たりの人件費は2割程度上昇するが、地域正社員の能力向上で吸収する。
柳井氏は「少子高齢化に加えて景気も回復しており、良い人材を確保するには待遇を改善しないといけない」と説明。店舗を急拡大してきたため、上意下達の「マニュアル経営」に陥っていると指摘。「簡単にはクビにできない制度」を導入して販売員の安心感を高め、仕事の質も高めることで収益向上を図る。「女性の社会進出は進んでいるが、パートやアルバイトといった中途半端な仕事ではもったいない」とも述べた。 同席した岡崎健最高財務責任者(CFO)は「アルバイトが入れ替わる店と、定着し運営される店では、どちらが売り上げが上がるか直感的に分かると思う」と述べ、正社員化による収益向上への貢献は大きいとの認識を示した。【神崎修一】