(長野)県内社会福祉施設、労災110件 介護で腰痛目立つ

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信濃Web 2016年1月14日

利用者のお年寄りを抱きかかえ、車椅子からベッドに移す特別養護老人ホームの職員=長野市(写真は省略)

 老人ホームなど、県内の社会福祉施設で2015年に起きた休業4日以上の労働災害は110件(速報値)に上ったことが13日、長野労働局への取材で分かった。統計のある1998年以降で最も多かった14年の167件に比べ、34・1%減った。同労働局は、社会福祉施設向けに安全管理の講習会を増やしたことなどが減少の要因とみるが、件数自体は「依然として高い水準にある」として注意を呼び掛けている。

  同労働局は、介護の現場では重い腰痛などで労災認定されるケースが目立つと説明。けがの状況や原因などは今後、詳しく集計する。

  今のところ、労災の要因は「転倒」が最も多く35件。利用者を抱きかかえる際に腰などを痛める「動作の反動」が30件などという。社会福祉施設での労災は、98年は25件だったが、09年に100件を超えて113件になった=グラフ。14年は98年の7倍近くに達した。

  同労働局は13年から、社会福祉施設での労災減少を重点目標に掲げ、それまで年10回ほどだった福祉事業者向けの安全管理の講習会をほぼ2倍に増やした。同労働局は15年の労災が減少に転じた背景には講習会の強化のほか、「事業者側の安全意識の向上もある」と話している。

  一方、15年の110件のうち、50歳以上が被災したのは58件と半数以上を占めた。同労働局は「(福祉の現場は)若い人が定着せずに年齢の高い職員が多い状況を示している」と指摘、「建設現場などに比べ重大な事故が少なく、安全管理が軽視されがちだった。今後も指導を続ける」としている。

  15年に県内で起きた休業4日以上の労災は計1907件(速報値)で、14年(2113件)から9・7%減った。

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