朝日新聞 2014年6月1日
労働時間に関係なく賃金が一定になる働き方は、ブラック企業に有利になるだけだ――。政府が検討している新制度をテーマにしたシンポジウムが31日都内であり、パネリストから懸念の声が相次いだ。
若者を使い捨てにする「ブラック企業」問題に取り組む団体や弁護士らの主催。政府が検討する新制度について、経済界は「幹部候補」を対象に導入するよう求めているが、労働組合は、働き手が「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられると批判している。
席上、森岡孝二・関西大学名誉教授が「過労死防止と正反対の動き。長時間労働を認める協定を結んでいる労組は、歯止めにならない」などと基調講演した。 パネリストの佐々木亮弁護士は「『幹部候補』はどうにでもとれる。ブラック企業に栄養を与える」と指摘。NPO法人POSSEの今野晴貴代表も「長時間労働を働き手に強いる)ブラック企業が使う労働時間の管理を合法化するものだ」と批判した。