Nikkansports.com 2014年7月12日
通信教育大手ベネッセコーポレーションの顧客情報流出問題で、同社がデータへのアクセス状況を調べたところ、外部業者に派遣社員として勤務していたシステムエンジニア(SE)のIDなどが使われた痕跡のあることが12日、関係者への取材で分かった。
警視庁は、何者かが業務を装ってデータを持ち出したとみて、不正競争防止法違反(営業秘密の複製、開示)の疑いで捜査している。
また警視庁は、流出したデータを扱った複数の名簿業者からの事情聴取を始めた。データは、IT事業者「ジャストシステム」(徳島市)の入手ルートとは別に、複数の名簿業者の間で取引されたことが判明。ジャスト社以外の企業にも個人情報が出回った可能性があり、警視庁は、取引の実態や経緯を調べる。
関係者によると、ベネッセグループのシステムを扱う関連会社「シンフォーム」(岡山市)から、データ管理を委託された外部業者の担当者には、業務用のIDが付与されていた。派遣社員のIDを使ってデータがダウンロードされた形跡があったという。
関連会社の東京都多摩市の事業所が流出元で、データにアクセスできる端末は、一部の関係者しか出入りできない部屋に置かれていた。警視庁は厳しい管理状況から、流出したデータは、不正競争防止法が保護対象とする「営業秘密」に当たるとみている。
一方、東京都内の名簿業者は取材に対し、別の業者が4月ごろ持ち込んだ800万件の子どものデータを購入したと明らかにした。ベネッセの顧客情報と思われる内容を含んでおり、不正流出を疑って破棄したという。
その後、業界内では、ベネッセから大量のデータが漏れたとのうわさが広がり、実際に数社へ転売した業者もあったとみられる。この業者は「既に多くの業者がデータを持っている。回収は難しいのではないか」と話した。(共同)