川上の外国人実習生 入管、受け入れ停止処分 組合解散決定

信濃毎日WEB 12月02日(火)

 レタスなど高原野菜の栽培が盛んな長野県南佐久郡川上村で、国の制度に基づき農作業に携わる外国人技能実習生を受け入れていた「川上村農林業振興事業協同組合」が9月、東京入国管理局から5年間の受け入れ停止処分を受け、11月の臨時総会で解散を決定していたことが1日、関係者への取材で分かった。

 同入管は取材に「必要な措置を講じた」とし、処分の理由を明らかにしていない。同組合の役員の1人は取材に、実習生の在留資格で来日したのに農作業に携わらない者がいたなどの問題があったためと同入管から説明を受けたとしている。

 日弁連は1日、川上村内で高原野菜生産などに携わった中国人男性が書いたとされる、人権侵害を訴える2012年10月の投書を基に独自に調査した結果を公表した。

 報告書によると、実習生などの在留資格で来日した中国人の中に、農作業には関わらずにほかの実習生を管理する「班長」という立場の者がいた。また、「班長」は、実習生がほかの農家の実習生と話をしたり、寄宿舎を訪れることなどを禁止し、違反した場合に、中国側の実習生送り出し機関が給与から「罰金」を天引きしていたと指摘。川上村農林業振興事業協同組合はそれを黙認していたなどとした。

 日弁連の指摘について、同組合役員は取材に「確かに『班長制度』は過去に存在していた」と認めた上で、「是正をした」と述べた。一方、罰金制度については「なかった」としている。

 日弁連はこれまでも、外国人技能実習制度について、実習生が低賃金で働かされるといった問題があるほか、実際は実習生を非熟練労働の労働力不足解消のために利用しているなどとして、国に制度廃止を求めていた。今回の調査を踏まえ、あらためて法務省、厚生労働省に実態調査や再発防止、制度廃止を求めた。

 両省は制度を維持しつつ、監督の在り方などを見直し、来年度中に新制度に移行するとの考えを示している。

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