産経WEST 2014/12/13
学業に支障が出るほどの過酷な労働を強いる「ブラックバイト」は、若い社員を酷使する「ブラック企業」と同様に深刻な社会問題になっている。アルバイト経験のある学生の7割弱が勤務先で不当な扱いを受けたことがあるとの調査結果もあり、大学教授らが対処法をインターネットで無料公開するなど支援の動きが広まっている。
「給料日が決まっていない」「1日1時間はただ働き」。関西大の学生団体が今年6月以降、同大の学生に実施したアルバイトの実態調査には、多くの学生から悲痛な声が寄せられた。
回答があった79人のうち、勤務先から契約書を受け取っていない学生が16人、最低賃金(大阪府は838円)以下の時給で働いている学生が7人いた。団体は「学生の法的知識の乏しさに企業がつけ込んでいる」と分析。11月、労働問題に詳しい弁護士を招き、学生を対象にした労働法令の勉強会を開いた。
勉強会で講演した中西基弁護士(大阪弁護士会)は「アルバイトにも労働基準法が適用されることを認識していない学生が多い。何かおかしいと感じたら、労働基準監督署や弁護士に相談してほしい」と話す。
一方、「ブラックバイト」の名付け親として知られる中京大の大内裕和教授らが参加する「ブラック企業対策プロジェクト」が7月に全国23大学の2524人から回答を得たアンケートでは、67%が「不当な扱いを経験した」と回答。内訳(複数回答可)は「希望していないシフトを入れられた」が21%と最も多く、「労働条件を書面で渡されなかった」(19%)「実際の労働条件が募集時と違った」(18%)と続いた。
プロジェクトは学生を支援しようと、対処法をまとめた全50ページの冊子を作成。ホームページ(http://bktp.org/)から無料でダウンロードできる。