毎日新聞 2014年12月15日 21時10分(最終更新 12月15日 21時13分)
政府と経済界、労働界の代表による政労使会議が16日に決める合意文書案の全容が分かった。来年の春闘に向け「経済界は、賃金の引き上げに向けた最大限の努力を図る」と明記。ただ、議論の焦点になった年功序列の賃金体系の見直しは「仕事・役割、貢献度を重視することや子育て世代への配分を高める方向へ見直すことが一案」との表現にとどめた。
政労使の合意は昨年12月に続き2度目。昨年は「企業収益の拡大を賃金上昇につなげていく」として、2014年春闘での賃金のベースアップ(ベア)が拡大するきっかけとなった。今年4月の消費税率8%への引き上げで消費者の実質所得の目減りが続く中、今回は賃上げに向けた表現をより強めて2年連続の賃上げを確実に実現し、低迷する消費底上げにつなげたい考えだ。
「デフレ脱却を確実なものとするためには、企業収益の拡大を来春の賃上げや設備投資に結びつける必要がある」との認識でも一致。また、中小企業の賃上げも促すため、大企業を念頭に「取引企業の仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁や支援・協力について総合的に取り組む」とした。
賃金体系の見直しは、子育て世代や成果を出した人に手厚く配分することで、企業の生産性向上や子育て支援につなげようと安倍政権が掲げていたが、労働側の反発に配慮し具体案は例示にとどめた。【小倉祥徳】