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朝日デジタル 2015年3月13日
食品スーパー大手のライフコーポレーションは、パート社員約2万人を対象に、毎年賃金が上がっていく定期昇給(定昇)を5月から始める。正社員だけでなくパート社員にも定昇を導入するのは珍しい。小売業界は人手不足が続く。非正社員の待遇を改善して優秀な働き手を引き留めようとする動きが広がり始めている。
ライフ労働組合が昨年の春闘で導入を求め、1年かけて議論し労使が合意した。これまでパート社員は人事の評価区分が上がらないと、何年働いても時給は上がらない仕組みだった。新しい制度ではパート社員の多くが評価区分に応じて、毎年5〜10円の幅で時給が上がる。評価によっては定昇がない人もいる。年間では1人あたり約2万円の賃上げ分に相当する人も出てくるという。会社全体では初年度に数億円の人件費増を見込む。
ライフは首都圏や関西に約240店を展開し、従業員は約3万6千人いて、そのうちパート社員らが約3万人と大半を占める。制度の対象となるのは、学生アルバイトや高齢の再雇用者らを除く約2万人。ライフ労組(約1万7千人)は約3分の2がパート社員で、田岡庸次郎委員長は「パート社員がいないと職場がまわらない。長く働いてもらう制度が必要だと労使で一致した」と話す。
ライフの並木利昭専務は「能力や意欲の高いパート社員に力を発揮してもらう制度にした」という。
パート社員らの時給は全国的に上がっている。人手不足で人材の確保が難しくなっているためだ。さらに小売業界では、ライフのように優秀な働き手に長く働いてもらうため、待遇を改善する動きが出ている。三越伊勢丹ホールディングスは4月から時給制の契約社員について、評価に応じた時給の引き上げ幅を広げ、収入の多い月給制に切り替える社員数も増やす。三越伊勢丹の首都圏11店舗の時給制の契約社員約3500人が対象だ。(佐藤秀男、北川慧一)