労働基準法の改正案は「ブラック法案」

弁護士が「解説マンガ」を新橋駅前で配布

労働基準法の改正案は「ブラック法案」 弁護士が「解説マンガ」を新橋駅前で配布
新橋駅前で改正労働基準法案の解説マンガ「ブラック法案によろしく」を配布する大久保修一弁護士(左)と佐々木亮弁護士(右)

 

ブラック企業被害対策弁護団と日本労働弁護団は6月18日の夕方、仕事帰りの人たちでごった返す東京・新橋駅前のSL広場で、「ブラック法案によろしく」と題したマンガ冊子を配布し、今国会に提出されている「労働基準法改正案」への警鐘を鳴らした。6人の弁護士たちが「こんにちは、残業代ゼロ法案の解説マンガです。お手にとってご覧ください」「ネットで話題の『ブラック法案によろしく』を配っております」と、行き交う人たちに冊子を手渡した。

 

今回の改正案には、専門業務に従事する一定年収以上の労働者について、労働時間や休日・深夜割増賃金などの労働基準法の制約をはずす「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれている。そのため、弁護団は法案を「残業代ゼロ法案」「定額¥働かせ放題法案」と呼んで批判している。

 

●「ブレーキをなくしたらどうなるのか」

 

厚労省の法律案要綱によると、高度プロフェッショナル制度の対象となるのは、年収が少なくとも1000万円以上の労働者などとされている。この点について冊子では、「絶対に後で広げられる」「小さく産んで、大きく育てる」ことは「国民の抵抗を受けやすい法律を作る際に使われる常套手段」だと指摘。「派遣法も徐々に対象を広げられた」「消費税も最初は3%だったのに、今や10%にされようとしている」と批判している。

 

この法案は「時間ではなく成果で評価される制度」と報じられることもあるが、そうした報道について、冊子では「そんな内容は法案にひと言も書かれていません」と反論。さらに「残業代は、長時間労働を抑制するほとんど唯一のブレーキ」として、「過労死や過労自殺が相次ぐ中、ブレーキをなくしたらどうなるのか」と訴えている。

 

ブラック企業被害対策弁護団の佐々木亮代表は「思ったよりも手に取ってもらえたが、法案の内容がまだまだ知られていないと実感した。ネットで情報を発信したり、街中で冊子を配布したり、今後もいろいろな方法を使って問題点を伝えていきたい。駅前の街頭ビジョンで解説動画を放映することも計画している」と話していた。

 

この日配布された冊子は、ブラック企業被害対策弁護団のサイトで公開されている。http://black-taisaku-bengodan.jp/burahou/

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