朝日DGITAL 2015年11月5日
写真・図版:25歳〜59歳男性の職業別自殺リスク(省略)
男性では経営者らの管理職がほかの職業に比べ、自殺するリスクが高い可能性があるとする論文を、国立国際医療研究センターの和田耕治医師(公衆衛生学)らが精神医学の国際誌に発表した。欧米では管理職の人はリスクが低いと指摘されており、日本では異なる傾向がみられたという。
人口動態統計と国勢調査のデータをもとに、2010年に自殺した25〜59歳の日本人男性約5千人について分析した。国勢調査で分類された11種類の職業別に自殺者の割合をみると、商品販売などに従事する販売業が10万人当たりで14・7人と低かった。
統計学的な調整を加えて自殺リスクを計算し、販売業を基準に比較すると、経営者や会社役員などの管理職は3・9倍で、最も高かった。次いで接客などのサービス業が3・6倍、農林漁業は3・5倍だった。無職の人は除いた。女性は調べていない。
ログイン前の続き和田さんは「管理職の自殺リスクが高い理由は明確にはわからないが、景気低迷による事業の失敗や、強いストレスなどが関係している可能性がある。リスクが高かった職業については、相談体制を充実させるなど対策をとっていく必要がある」と話す。(武田耕太)
■25〜59歳男性の職業別の自殺リスク(2010年)
販売業との比較
・管理職 3・9倍
・サービス業 3・6倍
・農林漁業 3・5倍
・保安職 2・0倍
・建設・採掘職 1・9倍
・輸送・機械運転職 1・6倍
・専門・技術職 1・5倍
・生産工程職 差はなし
・事務職 差はなし
・運搬・清掃・包装など 差はなし