連合「ベア2%基準」を正式決定 底上げ重視 大手追従転換へ

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/151127/ecd1511272128003-n1.htm
SankeiBiz 2015.11.27
 
 連合は27日、千葉県浦安市のホテルで中央委員会を開き、平成28年春闘で、3年連続での賃金体系全体を底上げするベースアップ(ベア)を「2%を基準」として要求する方針を決定した。同時に、大企業が春闘相場を形成し、中小企業などが追随するこれまでの方式を改め、底上げや格差是正を強く打ち出す新方式の春闘方針を打ち出した。安倍晋三政権が経済界に賃上げを要請する「官制春闘」が定着する中、連合の存在価値が問われている。(平尾孝)

 来年の春闘では、働いた年数に応じて賃金が増える定期昇給分も例年通り2%確保を求め、トータル4%の賃上げを要求する。

 神津里季生会長は中央委員会であいさつし、「デフレ脱却の流れを本格化させ、中期的な継続性、持続性を発揮させるためには来年の春闘での賃上げが重要だ」と訴えた。

 連合は今回、月例賃金の引き上げを重視するほか、「全体の賃金の底上げと格差是正」に重きを置き、春闘相場での「大手追従の構造の転換を図る」(神津会長)という。

 具体的には、大手企業の労組は自社の賃上げ要求だけでなく、グループ企業や取引先企業の賃上げも可能になるような要求をつくる。これによって中小企業が大企業と一緒になって賃上げできる状況を作り、産業界全体の賃上げを図るという方式だ。

 すでに、この考え方での要求検討は進んでいる。

 金属労協のうち、中小製造業の労組主体のJAM(ものづくり産業労働組合)はすでにベア6000円を統一要求と決めた。

 この取り組みには、安倍政権が進める大企業などでの賃上げを先行させ、それを広く波及させる「トリクルダウン」への対抗という側面もある。連合はデフレ脱却に向け「トリクルダウンだけでは不足なのは明白になっている。底上げこそが有効だ」と考えている。

 ただ、各労組の担当者が「試行錯誤するしかない」と交渉への不安を口にするなど、連合の狙い通りに展開できるかは不透明だ。もし、連合の新方式が来年の春闘で一定の成果を挙げられないと、労働組合の中央組織である連合は労働者から見放されることになりかねない。

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