http://mainichi.jp/articles/20160124/k00/00m/040/008000c
毎日新聞2016年1月23日
JAPAN国際教育学院の家宅捜索に入る捜査員ら=福岡県直方市で2016年1月23日午前10時3分、山下恭二撮影(写真省略)
外国人留学生に法で定められた制限時間(週28時間)を超えて働かせた疑いが強まり、福岡県警は23日、日本語学校「JAPAN国際教育学院」(福岡県直方<のおがた>市)の会長でを実質経営者の上野末次(すえつぐ)容疑者(57)=直方市古町=ら3人を出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で逮捕した。3人があっせんした就労先は約50社に及び、個々の就労先での労働時間は制限時間以内に抑えつつ、複数の場所で働かせて長時間労働を可能にしていた。県警は学校を家宅捜索するなどしてシステムの解明を進めている。【吉住遊、菅野蘭】
他に逮捕されたのは、理事長の有村ひとみ(52)=同市感田=と副理事長で上野容疑者の妻さとみ(47)=同市古町=の両容疑者。県警によると、3人は「週28時間を超えて働いていることは知らなかった」と容疑を否認している。
逮捕容疑は、3人は2015年4月下旬〜11月中旬ごろ、学校に通うベトナム人留学生4人に複数のアルバイト先を紹介し、週28時間を超えて就労させたとしている。
県警は19〜24歳の留学生の男4人についても同法違反(資格外活動)容疑で逮捕した。4人は容疑を認めている。
留学生の就労は原則として学業に専念させるため禁止されているが、学費などをまかなう目的のアルバイトは入管当局の許可を得れば、風俗店などを除き週28時間まで可能だ。
捜査関係者によると、4人もこうした手続きを経て許可を取り、地元の食品加工工場などで働いていた。個々の就労先でのアルバイトの時間は週28時間以内だが、複数のアルバイトを掛け持ちし、上限を超える週31〜72時間就労していた。学校には現在、ベトナム人やネパール人ら約180人が在籍しており、県警はほとんどが制限時間を超えて働いていたとみて捜査する。
県警の調べでは、学校側は誰がどの会社で何時間働き、どれだけの報酬を得たか、一覧表を作成して管理。就労先を次々とあっせんしては、アルバイト代を得た留学生から授業料(月約5万円)や寮費などを受領していた。県警は、経営の安定化を図るために考案した巧妙な仕組みとみて3人を追及する。
学校は10年4月に開校。ホームページによると、1年半〜2年の3コースがあり、日本の大学や専門学校などへの進学を目指す留学生を指導している。
留学生の不法就労を巡っては1990年代、日本語学校の摘発が相次いだが、近年は検挙例がほとんどないという。