大分合同新聞 2016/3/27
http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/03/27/235443985
7割で法令違反 「ブラック企業」疑いの県内70事業所
大分労働局は、過酷な業務を課した上で労働者を使い捨てる「ブラック企業」と疑われる県内の70事業所を対象に、抜き打ち調査を実施した。7割を超える53事業所で違法な長時間労働やサービス残業をさせていることが分かった。働きすぎで体に支障をきたす目安とされる「過労死ライン」を大幅に越えていたケースも発覚。労働局は「労務管理の不徹底だけでなく、人手不足も影響し、就業時間が長くなった」とみている。
調査したのは昨年11月。若者の離職率が高く、労災請求のあった会社の勤務記録などの関係帳簿を調べた。労働基準法や労働安全衛生法に違反している事例が見つかったという。
主な違反は、時間外労働関連。労使協定がなかった他、協定で取り決めた限度を超える時間外労働をさせていたのが計28事業所だった。うち7事業所で、「過労死ライン」(1カ月・100時間)を越える時間外労働をした従業員が計7人いた。150時間以上もいた。
また、時間外の割り増し賃金を支払わず、サービス残業をさせていたのが9事業所。年1回の健康診断、長時間労働者を対象にした医師の面接指導の未実施は12事業所だった。
労働局によると、勤務時間をタイムカードなどで正確に記録せず、事業所側が勤務実態の把握に努めていなかったのが原因。違反の見つかった製造業者の中には「従業員が足りず、1人当たりの業務量が増えた」と説明したケースがあったという。
全業種の有効求人倍率は1・06倍(ことし1月時点)。「特に病院、福祉施設などの保健衛生業と製造業で人手不足の傾向にある」と労働局監督課。
問題のあった事業所に労働時間の短縮など改善を指導した。同課は「是正に応じない場合、法令違反での立件を含めて、厳正に対処したい」としている。