女性活躍 企業と女性労働者に認識のずれ

毎日新聞2016年9月18日 東京朝刊
http://mainichi.jp/articles/20160918/ddm/013/040/039000c

女性が意欲を持って働き続けるためには何が必要か−−。

 同じ質問に、企業と女性労働者では回答が大きく異なることが人材サービス会社のアイデムの調査で明らかになった。企業の回答は「女性自身の意識改革」が最多の40.2%だったのに対し、女性は「夫、家族の理解や協力」が47.0%、次いで「職場の理解や協力」が37.5%だった(複数回答)。女性活躍に関する認識や期待感に、女性と企業でずれがある実態が透ける。

 調査は今年5〜6月、20〜49歳の正社員またはパート・アルバイトの女性と、直近5年以内に妊娠した女性社員がいる企業を対象にインターネットで実施。1671人の女性と1428社から回答があった。

 「リーダーシップ」と「組織の管理・統括」に関する男女の能力差については、企業は6割以上が「男性の能力・特性が高い」と回答。「女性」「男女差はない」と回答した割合は女性よりも低く、女性社員に意識改革を求めながら、現実には女性よりも男性の能力を高く評価している矛盾も浮かんだ。

 一方、女性正社員の育休取得に関しては「取得せずに退職してほしい」と回答した企業は9.7%で、4年前(25.3%)と比べて大幅減。また男性正社員の「1年程度の育休取得は問題ない」という回答は49.9%で4年前から倍増した。

 調査を担当した同社「人と仕事研究所」の小杉雅和主任は「両立支援の制度整備が進み、女性の就業継続を阻んでいた壁は低くなってきた一方、女性活躍が進んだことで二つ目の壁が見えてきた」と指摘。「女性社員の意識改革の仕組み作りとともに、長時間労働の是正や家庭内性別役割分担を見直すことが必要だ」と提案している。【中村かさね】

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