朝日DIGITAL2017年7月26日http://digital.asahi.com/articles/ASK7V2VG4K7VULFA006.html
連合の神津里季生会長(写真省略)
専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を条件付きで容認する方針転換をめぐって混乱していた連合の執行部が、高プロの政府案の修正に関する「政労使合意」を見送る方針を固めた。条件付きの容認から従来の反対に立場を戻す。
唐突な方針転換に対する組織内外からの反対の声が強いことなどを勘案し、政府、経団連と合意を結ぶ方針を撤回してでも混乱を早く収拾すべきだと判断した模様だ。連合は26日、傘下の主要産別の幹部でつくる臨時の三役会を札幌市で開き、撤回の方針を確認。27日には地方組織の幹部も入る意思決定機関の中央執行委員会(中執委)を同市で臨時に開き、正式決定する運びだ。
連合は高プロを「残業代ゼロ法案」と強く批判してきたが、執行部の一部が主導して条件付きの容認に転じた。神津(こうづ)里季生(りきお)会長が13日に安倍晋三首相と会談し、正式に修正を要請。21日の中執委で組織内の了解が得られれば、27日にも政労使合意を結ぶ予定だった。
ところが、21日の中執委で傘下の産別や地方組織から異論が噴出し、了解の取り付けに至らなかった。神津氏は中執委の後の記者会見で、「政労使合意について文言を含めて見極める必要がある」などと述べ、合意に至らない可能性を示唆していた。
高プロを含む労働基準法改正案は2015年4月に国会に提出されたが、野党や連合が猛反発し、2年以上にわたって一度も審議されていない。
菅義偉官房長官は26日午前の記者会見で、高プロを含む労基法改正案について、「働く方々の健康を確保しながら多様で柔軟な働き方を実現するために重要な法案だ。改正案の早期成立に向けて関係者の理解を得られるように努力していきたい」と述べた。
政府は、残業時間の罰則付き上限規制などを盛り込んだ労基法改正案と、国会に提出済みの同法改正案を一本化して今秋の臨時国会に提出し、成立を目指す方針を変えていない。連合が再び高プロへの反対に回る方針を固めたことで、臨時国会での法案審議の行方に不透明感も出てきた。