自殺対策、長時間労働や若者に重点 大綱を閣議決定

 政府は25日、新たな自殺総合対策大綱を閣議決定した。かつて年3万人を超えた自殺者は減る傾向にあるが、2016年は2万1897人など依然として年2万人を超す状況に「非常事態はいまだ続いている」と宣言。長時間労働対策や若者対策に重点的に取り組み、人口10万人あたりの死亡者数を示す「自殺死亡率」を10年間で3割以上減らすことを目指す。
 大綱は自殺対策基本法に基づいて国や自治体などの役割を定めるもので、5年に1度見直している。
 長時間労働による自殺対策は、広告大手電通の過労自殺問題などを受けて初めて重点施策に加えた。労使が協定を結んでも時間外労働が年720時間を上回らないよう徹底することを掲げたほか、職場のメンタルヘルス対策の推進やパワハラ防止対策も盛り込んだ。
 全体の自殺者数が減る傾向にある中、未成年の自殺者数が横ばい状態のため若者対策も重視。特に多い夏休み明けに小中高校などの見守り活動を進める。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で自殺をほのめかす情報がないかも確認する。
 こうした取り組みで自殺死亡率を15年の18・5から26年までに13・0以下にし、フランスの15・1や米国の13・4など主要先進国の水準にするとした。(井上充昌)

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